研究プロジェクト

潜在的文化観光資源に注目したローカルナビゲーション・モデルの抽出

 都市空間や地域エリアには,人々の注目が及ばないものの訪れる価値がある魅力的なスポット(潜在的観光文化資源)が偏在している.本研究は,これらの潜在的観光文化資源への誘導に有効な手法を明らかにし,これを観光ツーリズム,地域探訪・街歩き等のリクリエーションや体験学習の設計に役立てることである.研究ではターゲットとするスポットへの訪問を動機づけるパタンを抽出し,これらのパタンの組合せから誘導効果を予測し,その効果を明らかにするための実証的研究を行っている.研究成果はスマートフォンで利用できるアプリに適用し,早稲田祭(例年11月に開催)でのイベントや教室企画への誘導,学内文化施設や記念モニュメントの紹介といった,早稲田大学内での実証実験を通じて評価してきた.学外では,京都府京都市内(下京区,東山区,中京区,左京区の4区にまたがるエリア)において,伝統産業振興を目的とした,街歩きと伝統産業体験を組合せたイベントでも利用されている.



商店街エリアマーケティング:来街者誘導と購買を促進するための手法開発

 都市空間は高齢化と空洞が進み,商店街エリアも,地域によっては店舗や事務所の閉店・閉鎖が増えている.これらの社会的課題を背景として,魅力がありながら集客に悩む商店街を活性化し,魅力ある都市空間の形成に役立つ手法を研究開発したい.様々な事情を背景として来街者の動線が失われ,集客困難な商店街への誘導とマーケティングを行うための方法を研究する.研究では,新宿区内の複数の隣接する商店街エリアでの実証実験を行っている.すなわち,商店街エリア全体の活性化のためのマクロなマーケティングと,それぞれの個店の活性化のためのミクロなマーケティングを並列で行えるように配慮し,来街者誘導のためのナビゲーション機能に加え,ゲーミフィケーション機能などマーケティングに役立つ仕組みを,商店街の状況を考慮してチューニングした仕組みを適用する.また,商店街への再来を考慮した方法を組み合わせ,商店街への動線を確立する.これらの方法は,実証実験から得られた来街者のデータと購買実績を分析することで評価することができる.これらの情報を分析することで,あらかじめ誘導効果を予測するための研究も行っており,フィージビリティスタディの精度向上に役立っている.



商店街エリアマーケティング:IoTセンサによる「賑わい」予測,リスク予測

 商店街は,レストランやカフェなどの飲食店,食料品店や日用品店,理容や診療所など,多様な業態の店舗から形成されている.これらの店舗はそれぞれに異なる特性を持っているが,商店街全体としてどのようにエリアが活性化されるべきかを考えるためには,ボトムアップな個店のデータを編纂し分析する必要がある.これらのデータは,各個店に多くの手間をかけず,セキュアかつ容易に収集できること不可欠である.この課題に対して,研究ではIoTセンサによるそれぞれの個店のデータの収集と編纂を行い,これらと統合的に分析することで商店街の賑わいを予測するための方法を提案する.研究では,新宿区内の複数の隣接する商店街エリアでの実証実験を行っている.早稲田大学理工キャンパス内51号館に設置したRoLaWANゲートウェイを設置し,近隣商店街エリアの個店に多様なタイプのRoLaデバイスを設置し,低速・低価格・省電力を特徴とするM2M通信の利点を生かしたデータ収集を行っている.それぞれの個店の特性に合ったRoLaデバイスを設置した店舗からは,来店や販売活動の活性化状況が把握でき,マクロな商店街エリア全体の賑わいを多様な角度から評価することができる.これらの情報を分析することで,賑わいの予測が可能となり,イベントや集客・誘導効果の予測に役立つことが期待できる.また,集客の落込み等のリスクを早期に把握でき,問題の分析や対策の立案に役立つ可能性がある.



早期予防的介入を実現するメンタルヘルス対策のためのスマート環境

 メンタル面の不調やうつ病が原因で修学・就労の困難を抱える人々が増えている.こうした人々への予防的介入を行うことで,不調に陥る予兆がある対象者を早期にスクリーニングし,重篤な不調へ陥るリスクを低減したい.本研究では,問題発生の予兆と位置付けられる状況モデルを抽出し,モデルに基づいてメンタルヘルス上の問題発生の手がかり情報を獲得する最低限のスマート環境を提案すると共にその有用性を評価する.